写真撮影は命がけ!
写真撮影は命がけ!
鹿児島の探偵というお仕事~鑑識・写真~
※当ブログ記事はすべてノンフィクションです。
ある所属にいたとき、2階建てアパートで火災が発生し、現場臨場した時のことです。
火災が発生すると、鑑識がとりあえずしないといけないことは、写真撮影です。
燃えてる状況では何も出来ませんから、とりあえず消防さんの消火待ちということで
鑑識は燃え広がっていく状況とか、現場周辺の状況とかを写真撮影していきます。
鎮火したあとは、前回お話しましたとおり、どんなに水浸しになろうが
鑑識は現場の中に入って写真撮影をしないといけません。
火事現場は、危険がいっぱいです。
木が焼けて、クギが飛び出している上を歩かないといけなかったり
焼け落ちた屋根から瓦が落ちてきたりと本当に危ないです。
中でも、このアパート火災のときの事故は、その後の鑑識作業にも
影響が残るような大きな出来事でした。
だいたい、現場検証は火災の翌日します。
発生日は、まだ煙も充満してますし、水浸しで、写真もきれいに撮れないですから。
そのときも、発生日の翌日私が写真担当になり、現場に向かいました。
現場1階は、仏壇が焼けて、天井などもススで真っ黒になってはいるものの、
ほぼ焼け残っていました。
火は、下には燃え広がりません、そのときも2階は屋根や壁まで焼けるくらいの状態でした。
消失の激しい2階部分から作業をしようということになり
捜査員3人、鑑識1人、消防5人で、2階に上がりました。
玄関から入ってすぐの台所は、わりとしっかりしていました。
そこをすませ、奥の和室の作業が始まりました。
和室の一角には、1階から燃え上がってきた穴が床に開いてて
1階の消失していた仏壇の位置と一致しましたから、とりあえず火事の原因は
仏壇のロウソクの火の不始末ということで見解が消防と警察で一致しました。
原因究明が難しい火事もたくさんありますからね、そんなときは県警本部からも
科捜研の応援をもらったりと何日もかかることがありますから
早い段階で原因がわかればほっとします。
写真は、全方向から撮らないといけないため、私はクギが上に向いて落ちてないかとか
気をつけながら、燃え落ちている穴の方向に歩いていきました。
消防の写真班も同じ写真を撮らないといけないため、私の方向に歩いてきました。
私が穴の横に立ち、ふりむいた瞬間でした!!
すっと、自分の足元の床がなくなりました。和室の2階床部分がすっぽり抜け落ちたのです(汗)
一瞬中に浮いたような感覚の後に1階まで落下していきました。
背中を強打し、「うっ」となっているところへ焼けて灰となり水を含んだ畳が
大量の土砂となって降り注ぎ、生き埋め状態になり
とどめに私の上に消防隊員3名が落ちてきて、完全につぶされた状態になりました。
落ちた消防隊員の「カメラがない!痛い!」という叫び声を聞こえていましたが
私は声も出せずに身動きも取れない状態でした。
消防隊員がそこから動こうともがくもんですから、私は背中が何か硬いものにギリギリと
押し付けられ意識を失いそうな状態でした。
そのとき、私は撮影のために2台のカメラを持っていましたが、カメラと撮った写真だけは
命に代えても守ろうという鑑識魂で、必死に体でかばっていました。
変な力の加わり方がすると、裏蓋が開いてフイルムが台無しになっちゃいますから
もう必死でしたよ(笑)
しばらくして、上の消防署員が救出され、私も助け出されましたが
ふっと自分の顔の横を見ると2階にあった大型のストーブが落ちてきていました(真っ青)
それが頭を直撃していたらと思うと、もう生きた心地はしませんでした。
背中を強打しているということで、救急車で病院に搬送され、精密検査を受けました。
骨に異常はなかったらしいですが、後から強烈な痛みがきて立つことが出来なくなり
1ヶ月動けない状態になりました。
今でも、そのときの影響が残っており、ちょっと無理をすると腰や背中に痛みを感じることがあります。
今思い返せば、落ちる前の床の感じ、ふわっとするような嫌な感じがしたんですよね。
1階に上を向いて落ちているクギなどがなくて良かったです。生きてて良かったです。
鑑識も消防も命がけの仕事だと思える一つの事件でした。では、また。
If you fight, We become your sword and shield.
~あなたが戦うのなら我々はあなたの剣と盾になりましょう~
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