警察犬よ頑張れ!
鹿児島の探偵というお仕事~鑑識・臭気~
※当ブログ記事はすべてノンフィクションです。
鑑識の担当するものに、臭いに関する作業があります。
いろんな臭いがあります。鹿児島弁で言う「かざ」ですね(笑)
腐った臭い、薬品の臭い、汗の臭い、血の臭い、精液の臭い、死の臭い・・・
さまざまです。
まぁ、どの臭いも鑑識でなければ嗅ぐ必要も嗅ぐ経験もあんまりないような臭いです。
特に、血の臭いや死の臭いなんて、嗅がないでいいものなら、絶対に
「嗅ぎたくない臭い」
ですよね。
薬品の臭いなんて鑑識でも危険がいっぱいですよ・・・
今、巷で増えている洗剤を混ぜて自殺に使用する薬品とか
一酸化炭素中毒の現場とか、誰よりも先に現場に入って写真を撮る鑑識は
二次災害にあう危険性が一番高いのです。
腐乱している死体の発見現場においても、窓も開いてなくて腐臭が充満しきっている
死体のそばまで、まず行って、写真を撮ったり現場の状況を報告しないといけないのが
鑑識ですから。
でも、さすがに10年もしたら、鼻も馬鹿になって、あんまりいろんな臭いに
体が反応しなくなるんですよね(笑)
現場が終わって、署に帰り警務課とか会計課にいくと
綺麗なお仕事をしていらっしゃる職員の皆さんから、眉間にしわを寄せられるんです。
作業服に臭いが染み付いてるらしいんです。
鑑識の自分らは、まったく気にせずに、そのままご飯を食べたりしてますけど(笑)
今日は、その臭いの捜査を鑑識の100万倍の感度で行ってくれる
「警察犬」のお話を少ししたいと思います。
ある所属にいたときに、
「自宅に帰ってみたら、知らない男が室内にいて、今逃げて行った。
玄関に靴を残したまま逃げてる」
という通報があり、現場に向かいました。
犯人の臭いのついたものがあるなら、警察犬の出番だと思い
出動要請して現場についてみると真っ青になりました。
現場には、現場見分に来た交番のお巡りさん数名に署の刑事が数名・・
本部機動捜査班の捜査員が数名、現場の中に入って
犯人の靴を持ち上げてサイズとかの報告をしたりしてるじゃありませんか。
「何、遺留品に触ってるんですか!!!警察犬を要請してるんですよ!!!」
あわてた私が怒鳴ると、熟練の捜査員(デカってやつです)がしれっとして
「手袋をして触ったから大丈夫だよ、ちょっとどんな靴か見ただけだから」だって・・・
見てみると、捜査員の手にはビニール手袋ではない普通の布手袋がはめてあり
ました(泣)
「だめですよ、布手袋は臭気を通します、それにその手袋で汗をふいたりするでしょう?」
と言ったところ
「・・・ぶつぶつ、ここにいる連中ほとんど手に持って見たよな・・
俺だけじゃなかったよ・・」
なんて、おっそろしいことを言ってくれるじゃないですか!
あわてて、現場から全員を叩き出し、犯人の逃走経路になりそうなルートも
全て確保しましたが、後の祭りってやつですか、到着した警察犬担当官にも
状況を説明したところ、大きなため息をついてました(汗)
とりあえず、犬を入れてみようということで、現場で靴に残った犯人の臭気を嗅がせて
スタートしたところ、逃走経路の階段を下りていき、外に出たと思ったら
真っ直ぐ自分の乗ってきた警察犬用車両に行って乗り込み、ふて寝を始めました(笑泣汗)
「おいおい機嫌を悪くさせちゃったよ~」状態でした!
何度か試みましたが、駄目でした(涙)最後には、手袋で触っていたデカさんに、
ワンワンワン!!!
あ~あって感じでした。優秀な犬なんだけどねぇ、人間の無知さが優秀な犬の実力まで
駄目にしてしまった感じでした。
事件はひとつ駄目になったけど、そこにいた警察官にとっては
とてもいい勉強になったと思いました。
やる気満々で来てくれた警察犬君には、ごめんちゃいって感じでしたけど。
後日談として、この犯人は別な現場でも同じようなことをして捕まりました。
まぁそういうことで、本日は警察犬にまつわるお話でした。では、また。
If you fight, We become your sword and shield.
~あなたが戦うのなら我々はあなたの剣と盾になりましょう~
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