鹿児島の探偵というお仕事~鑑識・指紋~
※当ブログ記事はすべてノンフィクションです。
長年、鑑識係として指紋採取・足跡採取・DNA関係採取等に従事してきましたが
今回は指紋採取について、お話してみようと思います。
指紋には
・万人不同 世の中に一人として同じ指紋の人はいない
・終生不変 子供が大人になっても、指紋が変わることはない
という、二つの大きな特徴があります。まあ、当然と言えば当然ですよね。
同じ指紋の人があっちこっちにごろごろいたり大人になるにつれて
指紋がどんどん変化していったりなんてことがあれば、誤認逮捕があちこちで起こったり
犯人の特定お支障をきたしますからね。
そうなると、指紋制度というものが成り立っていかないわけですから、当たり前のことです。
鑑識係員になって、まず最初に叩き込まれるのが、この指紋の特徴なんです。
私が、初めて鑑識係になったころからすると、指紋採取の方法も指紋採取可能性も
格段に精度があがっていき、日々進化し続け、今では、そこに指紋があるかぎり
採取不可能な指紋はない
と言っていいほどになってきたと思います。
今日は、その指紋採取技術の中でも、最強と言っても過言ではないと考えている
シアノアクリレート法による指紋採取
について、お話していきたいと思います。
シアノアクリレート法、聞きなれない言葉ですよね?簡単に言えば、
アロンアルファ等のシアノアクリレート系接着剤を使った指紋採取法ってことです。
この接着剤は、シアノガスというものが出ています。アロンアルファを使ったときに
目や鼻にツンと来るあれがそうです。
そのシアノガスが、指紋の中の水分に付着して、白く浮かび上がり指紋として採取することになります。
この方法は、指紋の中の水分に反応するものですから、水に濡れたものは無理です。
でも、水濡れ検体については、また、別な方法がありますから大丈夫です。
その方法については、今後アップしていきます。
このシアノアクリレート法は、とにかく凄いです!
従来の方法では、実現できなかった犯人が犯行に使用した石や、犯行現場で犯人が食べた果物の皮や、デコボコしたバッグ等からでも、指紋採取が出来ます。
ですから、この方法が採用されてから、警察の指紋による犯人の特定能力が、数段アップしたと言っていいと思います。
ここで、自宅でできるシアノアクリレート法を利用した簡単な指紋採取実験について、説明いたします。
まず、
●アロンアルファ・透明なビニール袋・10センチ四方くらいの紙を1枚
準備してください。準備できましたか?
そうしたら、
●ビニール袋の内側に鼻のあぶらを付けた自分の指紋をペタペタつけてください。
●10センチ四方くらいの紙の片面にアロンアルファを数滴落として
紙をこすり合わせて、紙上にアロンアルファを広げてください。
●紙の縁を持って、軽く振り、アロンアルファを乾燥させてください。
●紙の上のアロンアルファが乾燥したら、先ほどの指紋をつけたビニール袋の中に入れてください。
●ビニール袋の中に空気を入れて膨らませた状態にして、口を縛って、空気が漏れないようにしてください。
これで、終わりです。このままその辺に放置しておけば、だいたい30分くらいで、ビニール袋の内側にきれいに指紋が浮かび上がってきます。
簡単でしょ?たぶん、凄いって感じられると思いますよ。
注意事項
〇火気の近くでは、実験しないでください。
〇それと、指紋が出たといって、ビニール袋の口を開けて、いきなり中を覗き込まないでください。
中から、濃厚なシアノガスが出てきますから、吸い込んだり、目にかかったりすると
のどや目に強い刺激がきます。換気のいい部屋で実験されることをお勧めします。
〇実験後は、換気のいい窓際か庭で、ビニール袋の口を開けて、中のガスを出し、ビニール袋の口を縛って、チリに捨ててください。
〇使っているものが、強力な瞬間接着剤ですから、手や服に付かないように気をつけてください。
以上、シアノアクリレート法による指紋検出について、簡単に説明いたしました。
では、また。
If you fight, We become your sword and shield.
~あなたが戦うのなら我々はあなたの剣と盾になりましょう~
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